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イドムくんの危うい1日  その5

いどむ20  50






イドムくんは、あいかわらずいつもと同じことで飽きもせずに苦悩しつつも、 しっかり出すものは出し終わってスッキリしてしまいました。



そして軽い疲労感につつまれながら、ニュース番組を適当にはしごしつつながめているうちに、 気がつくといつのまにか夜の7時半になっていました。






  ・・・生産的なことなんて何一つしてないのに、もう夜か・・・ 


  映画とかマンガの話じゃなくって、リアルで毎日毎日、ただご飯を食い漁って、寝っころがって、 大と小を排泄して、の繰り返しだけ・・・


  これはもはや人間の生活とは言えないだろう・・・


  ほとんど動物とか昆虫とかの世界だよ・・・ 








  ・・・いや、それは違うか・・・


  彼らは彼らなりに色々苦労したり努力したりしながら、 厳しい生存競争を死に物狂いで毎日戦い抜いているんだ・・・


  僕みたいな、ただ怠惰をむさぼって、まわりに多大な迷惑をかけてるだけの無能生物ごときと一緒にしたら 失礼もいいとこだよな・・・


  身の程知らずというか自分の立場を全くわかってないというか・・・


  こんなクズ、みみずさんやおけらさんたちに集団リンチされて、なぶり殺しにされたって一言も文句は言えないところだよ・・・


   





  ・・・しかしな・・・


  こんな日々がもう15年以上も続いてきたわけか・・・


  冷静に考えると、これって実は地味だけどものすごいことなんじゃないのか・・・ 


  継続は力なりっていうけど、こういう生活を継続してると、いったいどんな力が得られるんだろうな・・・


  ・・・まあ、どうせ僕のことだから、ろくでもない力に決まってるけどさ・・・


  確かに妄想力とマイナス思考力は極限まで強化されたが・・・


  そんなもの仕事する上じゃ何の役にも立たないどころか、逆に社会不適応を加速させるだけだよ・・・


  童貞を30年以上続けると魔法が使えるようになるなんていう話があったけど、未だにホイミすら覚えてないしなあ・・・


  あれもやっぱりウソだったか・・・ まあ元から全然信じてなかったから、別にどうでもいいんだけどさ・・・






イドムくんは、TVではニュースやドキュメンタリー番組をつけておくことが多いのですが、 実はその内容はほとんど頭に入っていません。



特に政治や経済系の話は、もともと人十倍頭が悪い上に、その分野に興味もないため、 内容の大部分が右の耳から左の耳へまっすぐ素通りしていってしまう、というのが実情なのです。



だから毎日社会的な番組をメインにながめているにもかかわらず、社会人であればあたりまえに知っているような知識が、 イドムくんの記憶チップには全くといっていいほど増えていかないのです。



イドムくんの脳が受け付けるような情報は、マンガやゲーム、犯罪、労働関係など、ごくごくせまい範囲のみに集中しているため、 イドムくんの精神年齢はいいとこ中学1年あたりでほぼ完全に停止してしまっているのです。
 





 
       
そして夜の8時になり、見たいテレビがまったく無くなったので、 イドムくんはとりあえずNHK教育を流しておくことにしました。






  ・・・こんなの全然見たくないけど、この時間の民放はバラエティ系ばっかりだからな・・・


  あの系統の番組はどうしても見てられないんだよなあ・・・


  動物ものとか旅番組ならギリギリなんとか見てられるんだが・・・


  普通のバラエティは、ただつけておくことすらできないよ・・・


  とにかく僕の場合、あのバラエティ特有の笑い声が絶対的にダメなんだよな・・・


  僕が笑われてるわけじゃないことは当然頭ではわかってるんだけど、 あれを聞くたびになぜかいちいち心臓がビクッとしてしまうんだよなあ・・・

 






  あと大声もダメなんだよな・・・


  特に怒鳴ったり、わめいたりとかがさ・・・


  別に自分が怒られてるわけでもないのに、勝手に体がかたまって、心臓が止まりそうになっちゃうんだよなあ・・・


  だからドラマとか映画もなるべく見ないようにしてるんだよ・・・


  ・・・まあ、本当にそれで心臓が停止してくれるんなら頑張って1日中でも見るんだけどさ・・・  







  ・・・外出してる時に、他人が何人かで笑ってる声を聞くたびに、いちいちビクッとしちゃうのはまだわかるんだけど、 テレビにまで毎回反応してるようでは、もう完全に人として終わってるよな・・・
    

  外での場合は、実際に笑われたり、ばかにされたりすることなんて今でもしょっちゅうあるわけだから、 常時ビクビクしながら人目を気にして警戒態勢になってても心情的に理解できるわけだけど、 自分の部屋の中でもってのはさすがに異常をはるかに取り越してるよなあ・・・


  ここまで対人恐怖が絶望的に悪化した状態でやれる仕事なんて、はたして太陽系に存在するんだろうか・・・


  正直言って、電話で面接の予約を入れることすら、自信がないというかかなりムリっぽいくらいなのに・・・








  ・・・そういや、人は誰でも一人一人何か成すべき使命をもって生まれてきたんだ、みたいな言葉があったよな・・・


  結局、僕はひきこもりになって、ひたすら生き恥をさらしながら、みんなの足を引っ張るだけのために、 この世に生まれてきたってわけか・・・


  しかしその理屈だと、僕はすでに使命を果たし終えたわけだから、もう用済みなんじゃないのか?・・・


  天はそろそろ僕を地上から登録抹消して、この生殺し状態から解放してくれてもいいような気がするんだが・・・




  



  ・・・まさか・・・


  一生このままずーっと惨めに醜態をさらしながら、死ぬまで他人に迷惑をかけつづけることが、 僕に課せられた真の使命ってことはないよな・・・


  どっちにしても、できればもうちょっとまともな使命がよかったよ・・・


  ・・・別に誰かを恨むとか、運命を呪うとかそういうつもりはもちろんカケラもないんだけどさ・・・


  僕だって本当は、普通に学校を出て、人並みに友達をつくったりして、みんなと同じように働いて、 誰からもよろこんでもらえるような生き方をしてみたかっただけなんんだよおおお・・・








  ・・・まあ・・・全てはもう終わったことだ・・・


  ちょっと気を抜くと、すぐこうやって妄想の世界に入っちゃうんだよな・・・


  今さらこんなつまらないこといくら考えたって、しょうがないのはよーくわかってるはずなのに・・・








  後は裁きの時を・・・贖罪の瞬間をただ待つのみ・・・


  確実かつ極力まわりに被害をおよぼさないような形で、うまく自決する方法とタイミングを、 僕が手に入れるまでの辛抱だ・・・


  玄海挑夢という名のゴミが、みんなにこれまでえんえんと与え続けてきた山盛りのマイナスを、 この命と引きかえに清算するだけだよ・・・








  ・・・いや・・・それはないか・・・


  僕ごときの1円の価値すらない腐りきったド汚い命程度で、 今までのばく大な負債が帳消しになるなんて、そんな虫のいい話があるわけないよな・・・


  ・・・本当に・・・本当に文字通り何の意味も無い人生だったよなあ・・・


  もし来世、また間違って僕がこの世に生まれてしまうような事態になったとしたら・・・


  今度は絶対に、何があっても、どんな手段に訴えてでも必ず、小学校に入るまでには自分で自分を削除してみせるよ・・・






  ・・・たぶん・・・







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イドムくんの危うい1日  その4

いどむ19  50






カントリーマアムをだらだら食べつつ、ぼーっとテレビの画面をうつろな目でながめながら、いつもと代わり映えのしないワンパターンの思考を繰り返しているうちに、いつのまにか時が過ぎて午後の4時になっていました。   






  ・・・もうレディス4の時間か・・・


  やけに早いな・・・知らない間にタイムスリップでもしてたのか・・・


  ・・・って、そんなわけないだろう・・・


  どうせ今日も何もしないまま、こうやって一日が終わるんだろうな・・・ 


  とりあえず今日の分の雑誌は、明日まとめてコンビニで立ち読みするとして、さてこれからどうするか・・・


  夕方のニュースが始まるまで、あと1時間もあるな・・・


  それまで何をして時間をつぶそう・・・


  マンガは・・・全部読み飽きたのばっかだし・・・


  じゃあゲームか・・・


  また伝説オウガのエンディングでも見るか・・・  


  いや、あのソフトは電池切れで、セーブデータが全部消えちゃったんだったな・・・


  僕がもってるゲームは、ほとんどがRPGだからなあ・・・


  RPGを一時間だけやるってのもちょっとな・・・ 


  しかも全部とっくの昔にクリアしたのばっかだから、あとはやりこみプレイを極めるくらいしかないんだけど、それすらもう最近はめんどくさいだけなんだよなあ・・・


  はっきり言ってゲームに関しては、もう趣味を楽しむっていう感覚はほとんど無いよ・・・


  ただ時間を何となーく無意味に消化しているだけみたいな・・・


  中学とか高校の頃なんて、必死でお母さんの目を盗みながら、ちょっとでも長くプレイしようとして毎日命を削ってたくらいなのに・・・







  ・・・しょうがない・・・何もやることないしオナニーでもするか・・・






イドムくんはめんどくさいと思いつつも、とりあえずひそかに隠し持っていたエロ本を天井裏から適当に10冊ほど出してきて、今日のターゲットを選考する作業に取りかかりました。






  ・・・うっ!・・・






今日の気分に合った子を探して素人ナンパ系のエロ本をぱらぱらめくっていると、カメラ目線で、やたら眼に力のある女の子のページが出てきて、イドムくんはビクッとして思わず反射的に目をそらしてしまいました。



イドムくんは小学生の頃から、どうしても人の目を正面からまともに見るということができず、えんえんと今まで一人で苦しみ続けてきたのです。



何とかしたいとずっと思ってはいるのですが、恥ずかしいという気持ちがあまりにも強過ぎるため、この症状についてはお母さんにも精神科の医師にも一切相談したことはありません。



本格的におかしくなってきたのは中学時代ですが、高校を中退して、バイトを転々としていたあたりから一気に症状は悪化し、さらに完全無職モードに突入してからは、加速度的に視線恐怖は増大していく一方で、今では雑誌の写真やテレビの中の人の目を見ただけでも反応してしまうほどに重症化してしまっているのです。






 ・・・エロ本を見てると、どうしても何回かは反応してしまうな・・・


  でもまあ抜く対象としては、あんまりもろに視線のきつい子は選ばないからなあ・・・


  それに実際抜く時は横とか上を向いてるシーンばっかり選んでるし・・・


  探してる途中で何回かビクッとくるだけで、別にオナニー自体に支障があるわけじゃないから、大した問題じゃないといえばないんだけどさ・・・ 
 


 


 
  ・・・しかし、それはあくまでも、ずーっと僕が今後もこうやって無職のままでいられればっていう条件付での話なんだよな・・・


  こんな状態で、もし万が一今後どうしても働かなければならないっていう局面がきたとしたらいったいどうするんだよ・・・


  写真の中の人の目すらまともに見れないような状態で、どうやったら人並みに仕事なんてできるんだよと・・・


  唯一多少は会話っぽいことが可能な、お母さんが相手であっても、目を見て話すなんてほとんどできないからなあ・・・


  これはやっぱり、自分以外の全ての人間に対して、僕が心底恐怖感を持ってしまってるってことなんだろうな・・・ 


  ・・・いや、やっぱり自分自身も怖いな・・・


  自分のあまりにも人知を超えたダメさが心底恐ろしいよ・・・


  赤ん坊とすらまともに目を合わせられないもんな・・・終わってるよ、完璧に・・・ 








  ・・・はっきりいって中学を卒業するだけでも、精神的にも肉体的にもギリギリめいっぱいもいいとこだったからなあ・・・


  高校に入った頃にはとっくに全てのパワーを使い果たしちゃってて、完全にガス欠状態だったから、1学期すらもたずにあっさり潰れちゃったわけで・・・ 
 

  まあ、そんな過去のことなんて今となってはどうでもいいんだけどさ・・・ 
 






  ・・・しかし僕なんかにできる仕事なんて、日本全国探したってもうほとんど無いに等しいだろうな・・・


  もし今の僕を採用してくれるようなバイトが奇跡的に存在するとしても、一般の人達が絶対にやりたがらないようなものしか無いだろう・・・


  ・・・いや、別にそれが不満だとかそんな身の程知らずな考えはもちろん無いんだが・・・


  しかし、せっかく好意で雇ってもらえたとしても、どうせ僕はまた全く戦力にならないどころか、ただのお荷物になっちゃうだけなんだよな・・・


  僕みたいな能無し以下のゴミがどれだけ死に物狂いで頑張ったって、間違いなくそこで一緒に働いている人達の足元にもはるか遠く及ばないだろう・・・


  10代、20代の頃ですら、あれだけ気が狂いそうになるまでオーバードライブ状態で全力以上を絞り出してたってのに、どこに行っても何をやっても全然ダメだったんだから、40近い今ではもはや勝負以前の問題だろう・・・  


  そう考えると、今から必死になってまた昔のようにバイトを探そうなんて気にはなかなかなれないんだよなあ・・・


  ただ甘えているだけだってのは百も承知なんだが・・・








  ・・・ましてや正社員なんて・・・


  こんな37にもなってバイトをいくつかかじったことがあるだけのヤツなんかを、いったいどこの会社が雇うっていうんだよ・・・


  しかもブランクが15年ってあなた・・・


  ほとんど漫才の世界だろう・・・


  面接に行っただけでいきなり無言で殴られそうだよ・・・


  向こうからしたら、うちの会社をバカにしてんのかって感じだもんなあ・・・


  仮に何かの手違いとかまぐれで採用されたって、全く周りのペースについていけなくて、どうせまたすぐ辞めることになるんだろうし・・・








  ・・・だいたいバイトですら1年ももったことが無いんだからなあ・・・ 


  いや、1年どころかたしか2ヶ月ももったこと無かったよな・・・


  いったいどこまでダメの史上最高到達点を更新し続けるんだよ、この欠陥品は・・・


  僕の場合、正社員なんてどうあがいたって絶対無理・・・考えるだけ無駄だよ・・・


  ・・・就職活動なんて、やる前から暗黒の未来しか待っていないってことが、はっきりくっきりあざやかにわかるよ・・・ 


  僕も不幸、こんな能無しを雇ってしまった会社はもっと不幸ってね・・・


  そういう全員が不幸になるしかない展開が目に見えてるよ・・・ だったら最初から何もしないほうが、総合的に考えたら全然いいに決まってるわけで・・・ 


  僕みたいな役立たずのゴミは、こうやって部屋にこもって一人で汚らしい仮性包茎のチンポを握り締めてればいいんだよ・・・


  中途半端にやる気出して働きに行ってたって、どうせ前のようにただみんなに大迷惑をかけるだけなんだから、そう考えるとむしろ今のこの状態がある意味一番いいとも言えるんだよな・・・


  今の状態をキープしている限りは、とりあえず職場に大損害を与えることだけは100%回避できるわけだから・・・




  



  ・・・しかしな・・・それだとお父さんとお母さんには、今後も引き続き、計り知れない金銭的損失と精神的ダメージを与え続けてしまうわけで・・・


  あちらを立てればこちらが立たずか・・・


  みんなにとって一番いい、全てが丸く収まる方法をあえてあげるならば、やはり僕一人がこの世から自主的に退場することしかないんだよなあ・・・


  どう考えたってそれがベストの選択肢なんだよ・・・それはわかってるんだ・・・


  理屈の上ではわかってるんだけど、どうしても最後の踏ん切りがつかなくって、こうしてズルズルとみじめに生き恥をさらしつづけてるんだよおおお・・・


  自分が死ぬのが怖いからって、どこまでお父さんとお母さんを苦しめ続ければ気が済むんだよ、このヘタレクズは・・・








  ・・・なーんてな・・・  


  会社の人達の迷惑がどうとか言っても、実際は自分が傷つかないでいいように自分を守ることに必死になってるだけなんだよな・・・


  そういうところが僕のズルいというか卑怯と言うか一番汚いところなんだよなあ・・・


  こういう生まれながらにひきこもり体質の人間ってのはいったいどうやって生きていけばいいんだよ・・・


  結局僕は、徹頭徹尾自分の都合しか考えてないんだよな・・・昔も今も・・・そしてたぶんこれからも・・・




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イドムくんの危うい1日  その3

いどむ18  50%






イドムくんがご飯を食べ終わってお菓子をぼりぼり食べ始めた頃には、昼のニュースや報道番組は終わってしまっていたので、しょうがなく比較的邪魔にならないNHK教育をつけておきました。






  ・・・さて、今日はこれからどうしようか・・・


  下のPCでネットでもやるか・・・ いや、今日はいいや・・・ 


  ちょっと目の調子が最近あんまり良くないしな・・・






イドムくんは小学1年の時からメガネをかけていて、現在の視力は0.01もありません。


PCの画面を見ていると目がすぐにズキズキ痛くなってくるため、長時間の連続使用にはとても耐えられません。


せいぜいもって1、2時間といったところでしょうか。


こんな状態では当然ながらPCを使う仕事などできるわけがありません。






  ・・・ところで今日は何曜日だろう・・・


  こないだジャンプが出たから、たぶん水曜か木曜あたりだと思うんだが・・・


  やばいよなあ・・・ 何ていうかもう、記憶とか意識がかなりごちゃまぜになっちゃってるというか・・・


  頭の中がぼやーっと霧がかかったみたいな感じになって、何が何だかわかんなくなってる時がたまーにあるんだよな・・・


  まあ、さすがにここまで無職生活が続けばしょうがないか・・・ もう15年だもんな・・・


  脳細胞が日に日に超高速で死滅していって、脳みそ全体がトロトロに溶けていく一方みたいなイメージか・・・






イドムくんの部屋には日にちや曜日を特定できるものが、テレビ以外には何もありません。


カレンダーは無く、日記もつけていないので、一階に下りて新聞で曜日を確認しました。






  ・・・ほー、今日は水曜だったのか・・・


  ということはサンデーとマガジンが出るな・・・

  
  ・・・しかしな・・・ たった2冊のためにわざわざ外に出るのは、さすがにめんどくさすぎるよ・・・

 
  しかも読むマンガなんて、今はもうちょっとしか無いし・・・ 


  マガジンは、はじめの一歩だけで、サンデーはMEJORと結界師だけか・・・ 
 

  ずいぶん減ったもんだよなあ・・・ 僕が高校の頃なんて、マガジンは一時、買ってたくらいだったのに・・・


  ・・・まあ、こんな37にもなって、いまだに少年誌を読んでることがすでに異常もいいとこなんだろうし、いちいちコンビニとかに立ち読みに行くのも結構しんどいから、さっさと全部完結して欲しいって感じのほうが、最近は強いんだよなあ・・・


  昔は続きが読みたくてしょうがなくって、早く来週にならないかなーっていっつも思ってたのにな・・・


  やはり年齢が年齢だから当然の流れではあるんだろうけどさ・・・


  って、そんなの読んでるほどの余裕があったら無料の求人誌でも見ろよって話だよな・・・






  ・・・正直言うと今はもう何をやっても何を見ても、ほとんど楽しいという感覚がないんだよなあ・・・


  楽しいことが何も無い人生・・・か・・・


  オナニーも昔はあれだけ毎日毎日熱くなって没頭しまくってたのにな・・・


  20代の頃は一日2、3回なんてあたりまえのように軽快に抜いてたのに、今ではめんどくささのほうが先にくるくらいだからなあ・・・






  ・・・しかし一歩はいったいいつから連載してるんだ?・・・


  僕が高校くらいの時からやってる気がするよ・・・


いつになったら世界チャンピオンに挑戦するんだって感じだけど、なんだかんだ言っても一歩は地味~に地道に頑張り続けて日本王者になって、しかもそれを何度も何度も防衛してるんだよな・・・






  ・・・それに比べて僕ときたら・・・

  
  マンガの主人公と比較してどうするんだよって感じだけど、完全無職になってからは何一つ進歩していないどころか、むしろひたすら退化していく一方だよ・・・


  この差はいったい・・・って、そんなの考えるまでもないんだよな・・・






  一歩と僕の差・・・


  それは継続努力だ・・・


  それはわかってるんだよ・・・ 誰に言われなくてもさ・・・


  でも僕の場合何をどう頑張ればいいのかって話なんだよなあ・・・






  一歩みたいに、元いじめられっ子で気が弱くて背も低めだけど、人並み外れた運動能力と根性があって、ああやって彼女ができるくらい顔もスタイルもまあまあなら、努力の余地なんて全然余裕であるんだろうけどさ・・・



  僕みたいに生まれつき運動神経がゼロ以下で、背が異様に低くて、やたら太りやすい体質で、しかも顔が極度に気持ち悪くて、重度の円形脱毛症で、正体不明の神経症まで発症してて、さらに対人関係能力がもとから壊れてて、頭も絶望的にバカだったら、いったいどこをどう努力すればいいんだよと・・・



  どう考えてもこんなんじゃ手の打ちようが無いと思うんだよな・・・



  せいぜい性格をなるべく良くしようとするくらいしか改善できそうな所は無いと思うんだけど、ここまで基本条件が劣悪だと、ただただひたすら鬱屈して落ち込んで暗くなって自信を失って萎縮するだけで、とてもじゃないけど頑張るとかそんな前向きな発想は、ちらっとも出てこないような気がするんだけどなあ・・・






  ・・・もしかして、ここまで心が弱いのは僕だけなのか?・・・


  大部分の人達は、一歩を読みながら「よし、オレも負けずにやるぞー!」みたいな感じで頑張りまくって、成功への道を着実に歩んで行ったりしてるんだろうか・・・






  ・・・しかし、僕の錯覚かもしれないけど、どうもこの世の中はいろんなことが不公平過ぎるような気がするんだよな・・・

  
  これはただの気のせいだろうか・・・ 


  もしみんなが僕と同じくらいの性能しかなかったとしたら、いったいどういうふうに人生を切り開いて充実させていくのか、一回でいいから見てみたいよ・・・


  ・・・別に一般の人達を批判したりする気なんて全く無いんだ・・・


  僕みたいなゴミが一人前に他人を批評するような資格なんて、かけらも無いことくらいは自覚してるよ・・・


  ただ、この超絶レベルの閉塞状況を打開するための、ヒントというか手がかりというか参考資料がちょっとでいいから欲しいだけなんだ・・・


  僕ごときのバカ頭じゃあ、あと何千年考えたって名案とか秘策なんて出るわけないんだよおおお・・・ 


  まあ、ひがみとかねたみが、多少入ってるのはもちろん認めるけど、でもそれはそれとして、僕くらいまでもともとの条件が悪くて、それでも人生を十分楽しめてますって人がいったいどれだけいるのか、一度でいいから、国が統計を取ってみて欲しいよ・・・


  ・・・いや、そんなことできるわけないし、仮にそれが実行されたからといって、今さら現実の僕の人生が好転することなんて絶対にありえないよな・・・



  


  ・・・だめだ・・・もうやめよう・・・ 


  行き詰ってくると、すぐこういう意味不明の妄想にはまり込んで、不毛な現実逃避に走るのが僕の悪いくせなんだよな・・・


  こんなくだらないこと何億回考えたって、何一つ現実の自分にプラスは無いってのに・・・


  そんなヒマがあったら、実際に何か一つでも建設的な行動を起こせばって話だよなあ・・・






  ・・・たぶん何だかんだ言っても人生ってのはトータルでは公平というか、どこかでつりあいが取れてるんだろうな・・・ 
 

  僕のもともとの性能とか装備がここまで驚異的に悲惨なのも、たぶん僕に何らかの原因があったんだろう・・・ 
 

  前世で欲望のままにレイプ強盗殺人をやりまくって私腹を肥やしてたとかさ・・・


  いいんだ、もう・・・ わかってるよ・・・ 誰のせいでもないんだ・・・ 結局、一から十まで全て僕が悪かったんだろう・・・






  もう毎日同じことばっかり無限ループみたいに考えて苦悩し続けるのも疲れちゃったし、早く死後の世界に行って楽になりたいよ・・・


  冗談じゃなくピンポイントで僕の頭めがけて隕石でも落ちてきてくれないかなあ・・・




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イドムくんの危うい1日  その2

いどむ17  50%






宅○便のおかげで、お父さんが不在だという事実が判明したので、イドムくんはここぞとばかりに一階に下りて、とりあえずトイレやゴミ出し、食糧の調達などの雑用をひととおり済ませました。






  ・・・そろそろシャワーでも浴びるか・・・


  いいかげん自分で自分のにおいに耐えられなくなってきたからなあ・・・


  自分でもわかるくらいだってことは、他人からしたら、とんでもなくやばいことになってるんだろうな・・・

    




イドムくんがシャワーを浴びるのはだいたい月に2、3回といったところでしょうか。


まず股間をシャワーでざっと水洗いし、シャンプーで頭を洗い、体はいっさい洗わずに全体をざっと流して終わりです。


その後水に濡れた状態の体を、バスタオルで強めに拭いていると、タオルが茶色っぽくなるくらいに垢が大量に落ちるので、別にせっけんでこすり洗いをする必要は全く無いとイドムくんは思っているのです。


とにかくひたすらスピード重視なので、トータルの所要時間は5分もかかりません。


自分が湯船に入ると、垢で湯水をドロドロに汚染させてしまって、お父さんに怒られるかもしれないという恐怖があるので、浴槽に入ることは絶対にしません。


ついでに部屋にたまっていた汚れた下着や服を、洗濯機に放り込んでおきます。


こうしておくと、お母さんが洗濯して、乾燥した状態でいつのまにか部屋の前に置いておいてくれるのです。






  ふー・・・ ひさしぶりにさっぱりしたな・・・


  前回シャワーを浴びたのはいったいいつだったっけか・・・


  とにかく思い出せないくらい遥か昔なわけだ・・・


  子供の頃から僕は風呂はあんまり入らないほうだったけど、無職になってからは、さらに輪をかけてどうでもよくなっちゃったよな・・・    
  

  やっぱりこういう性質が、よけいにダメを加速させてきちゃったんだろうなあ・・・


  ・・・何というか、全てをめんどくさがってしまうみたいな・・・  


  ただでさえ元々の能力が桁違いに低いくせに、めんどくさがりまでプラスされちゃったら、もはや手遅れ以前の問題だよなあ・・・   


  



イドムくんはとりあえず自分の部屋に戻って、いつものように、ぼーっとテレビを見ながらご飯をもりもり食べはじめました。


お母さんはイドムくんのぶんの食事を考えて、ごはんやおかずを残しておいてくれるので、それを1日2回、後ろめたい思いをしながら、こそこそと台所から自室に持ってきているのです。






  ・・・うまいなあ、この肉・・・


  これは豚のしょうが焼きか・・・


  もうちょっと、ごはん多めによそってくれば良かったな・・・






  ・・・しかしな・・・ このご飯は確かにうまいよ・・・ しかしだ・・・


  今こうして、僕が漫然とテレビを見ながら、何の意味も無くご飯を貪り食っている間に、お父さんとお母さんは必死に汗水たらして働いているわけだ・・・


  2人とも、もうとっくに60を過ぎてるってのに・・・


  お客さんには気を使いまくりで、職場の上司には怒鳴られまくりで、同僚からはバカにされまくりで・・・  


  って、それは僕だけか・・・


  ・・・まあ、お父さんたちが職場でどんな感じで働いてるのかなんて、見たことも聞いたこともないから、実際の所はどうなってるのかは全くわからないんだけどさ・・・


  だけど間違い無くはっきりしている事は、お父さんたちの血と汗と涙と気合いとド根性でやっとかせいだお金で買った貴重なご飯を、何ひとつ存在価値の無い僕という名のゴミが、毎日毎日何も考えずに適当に食い散らかして、全てトイレで大きいほうにしてしまっているっていう事実だ・・・





  ・・・ううう・・・お父さん、お母さん、ごめんなさい・・・


  無能で申し訳ありません・・・生きててすみません・・・

  
  って、謝るくらいだったら何でもいいから早く働けばって話だよな・・・


  しかし、そうはいっても今の僕の状態では働くことはやはりどうやってもできないわけで・・・ 


  ・・・いや、できないというか、正確には、全くできそうな気がしない・・・






  ・・・やっぱり自発的に口減らしをするしかないか・・・ 


  結局結論はいつもここに行き着くんだよな・・・


  でも思ってるだけで、いつものように実際に自殺を実行するまでには至らないと・・・


  これじゃただ単に甘えてるだけと言われても、何一つ反論できないわなあ・・・


  一日中お父さんとお母さんから、説教されまくり&罵倒されまくりみたいな日々が毎日続いたりしてれば、迷わず速攻で全てを終わらせにかかるんだろうけど・・・ いや、別に他人のせいにしてるわけじゃないんだが・・・






  ・・・まあ、どっちにしても、こういう中途半端な状態が一番まずいんだろうな・・・

 
  誰にも何にも貢献してないのに毎日衣食住が提供されてて、しかもどういうわけかそれをほとんど批判もされないと・・・


  これじゃ当然のごとく腐るわな・・・ ひたすら堕ちてゆく一方だろう、どう考えても・・・ 


  ぬるま湯までは全然行かないけど、こんな甘い状況じゃあ、何が何でも自分で自分を、一刻も早くどうにかしないとっていうところまで、せっぱ詰まったギリギリの心境には、なかなかなりづらいだろう・・・


  人間はどうしても楽な方に流れやすいからなあ・・・ 


  特に僕の意思の弱さは、世界にも通用するくらいハイレベルだからな・・・ 
   

  ・・・まあ、常時ビクビクしながら自分で自分を限界まで責めまくってはいるけど、そんなのリアルで他人に責められるあの想像を絶する苦痛に比べたら無に等しいわけで・・・   






  ここまでいらない人間が、はたして今までの地球の歴史上で存在しただろうか・・・


  まさに生ける廃棄物・・・クズの最終形態だよ・・・




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イドムくんの危うい1日 その1

いどむ16  50



  

イドムくんは通常ふとんの中にいる時は、精神の崩壊を防ぐために、極力人生の意味とか将来のこととか昔のことのような厳しい問題については考えないようにして、マンガやゲームなどのどうでもいいようなことを考えながら眠りが来るのを待つようにしているのです。


ですがイドムくんの夜は非常に長いので、やはり一晩に何回かは、気づいたらいつのまにか、そういう考えたくないことを脳が勝手に考えてしまっているのです。






あまりにも眠れな過ぎて、頭がおかしくなりそうな時は、しかたなく自殺用に貯め込んである、精神科でもらったデパスかレキソタンを使用します。


イドムくんの場合、体が限界まで疲れ切っていて、全身がだるくてしょうがないのに、極度の緊張のせいか神経が異常に敏感になってしまっていて、何十時間も眠れないままの状態が続く時がたまーにあるのです。


そういう時には、精神科の薬を2、3シートほど一気に胃にぶち込み、半ば強制的に意識を遮断し、無理やり体を眠らせることにしているのでした。


どんなに大量に飲んだとしても、この程度の薬だけで自殺を完遂できるなどとはもちろん思っていませんが、少しでも自殺の成功率を高めるために、メインの自殺方法の補助として使用する予定であり、なるべく飲まずに押入れの中のダンボール箱に貯蔵しているのです。


 

そしていつものように、わずかな眠りと、無数の排尿を繰り返しているうちに朝がやってきました。





  ・・・今日はちょっとこれ以上は眠れんな・・・


  まだ10時半か・・・少し早めだけど起きるか・・・


  しかし、普通の勤め人だったら、もうとっくの昔に出勤してガンガンに働いてる時間なんだよな・・・


  いったいこれのどこが早めなんだよと・・・


  今では自分でも信じられないことだけど、僕も一時それをリアルでやってたんだよなあ・・・






  あの頃はバイトに行く前日になると、家にいる時からずーっと緊張しっぱなしでさ・・・


  次の日のシミュレーションを脳内で何度も試行錯誤しながら、なんとか十分な睡眠を取ろうとしていっつも超早めにふとんに入ってたんだけど、「早く寝ないと早く寝ないと」って焦るばっかりで、結局朝までほとんど眠れなくてなあ・・・


  限りなく睡眠ゼロに近い状態のままで、気合いで出勤したことなんてしょっちゅうだったけど、そうすると、ただでさえ無能なのに、いつも以上にミスを連発しちゃったりしてさ・・・


  せっかく頑張って出勤しても、みんなに迷惑をかけまくって、上司とか同僚から鬼のように怒鳴られまくるだけでな・・・






  ・・・そういや仮病つかって休んだり、何も言わずに無断欠勤したり、そのまま音信不通になったりとかメチャクチャやっちゃったことも何度もあったよなあ・・・


 突然当日になってから「休ませてください」っていう電話がどうしてもかけづらいというか苦手というかさ・・・


  最低もいいとこだったよな・・・ 本当に悪いことをしたよ・・・


  何でそんな人としてあたりまえのことすら普通にできないんだよと・・・


  他人に対する最低限の礼儀とか配慮とか、そういうことがまるでダメだったんだよな、僕は・・・


  大迷惑なんてもんじゃないよな、会社からしたら・・・ あんなのほとんど損害賠償ものだろう・・・


  会社にプラスを提供するために行ってたはずなのに、実際は逆に会社にダメージを与えるばっかりでな・・・


  ほとんどライバル会社から送り込まれた工作員が破壊活動をやってるに等しかったよ・・・






  はっきりいって僕の気の弱さは、オリンピックでその手の種目があったとしたら、確実に金が狙えるほどのヤバさだからな・・・


  僕の場合、人からしかられたり、怒られたりすることに対する恐怖感が、どういうわけか人並みはずれて強すぎるみたいなんだよなあ・・・


  どうしてこんなに僕は昔っからビクビクオドオドしてばっかりなんだろう・・・


  まあ・・・自分としてはギリギリの体調と精神状態の中で、自分なりにできうる限りを尽くしてたつもりだったんだけど、やっぱり僕みたいな欠陥品が、へたにやる気出しちゃって働きに行ったりしても、逆にみんなのお荷物になるだけなんだよな・・・ 






  ・・・生まれてごめんなさい、か・・・


  今さら何億回謝ったって、僕がみんなにかけた迷惑が帳消しになるわけはないんだけどさ・・・


  やっぱり死んでみんなにおわびをする以外に、僕に残された道はないんだよな・・・






ピンポーン!




しばらくぼーっと天井を見ながら、ふとんの中で考え事をしていると、突然玄関のベルが鳴りました。




ビクゥゥゥッ!!!


イドムくんの全身に緊張が走り抜け、全身がガクガクと震え出し、心臓が超スピードでドックンドックンし始めました。




ピンポーン! 




イドムくんの体は、意味不明の恐怖で完全に硬直してしまっていて、ふとんから出ることすらできません。






  ・・・なぜ・・・誰も出ない?・・・ お父さんもお母さんも今日は仕事の日ってことか・・・





ピンポーン! 「宅○便でーす」






  ・・・頼む・・・早く帰ってくれ・・・ うちは留守なんだ・・・ 僕は居るけど居ない人なんだよおおお・・・ 






その後、さらに一回ベルを鳴らしてから、ドライバーは不在証明をポストに入れて帰っていきました。






  はああああー・・・ 


  やっと帰ってくれたか・・・ 朝っぱらからこれはきつい・・・ 確実に寿命が1年は縮んだよ・・・ 






今ではイドムくんは玄関のベルだけでなく、電話が鳴っただけでも全身が恐怖でビクッと痙攣を起こしてしまうほどに心が脆い状態になってしまっているのです。


当然ながら電話に出ることもできません。


そのため、お父さんとお母さんが外出している間は、来客も電話も全て放置せざるをえないのです。






  ・・・いつからこんな状態になっちゃったんだっけ・・・


  小学生のころは電話は取れてた気がする・・・ たぶん玄関も開けれた・・・


  やっぱ中学からだな・・・ 全てが決定的におかしくなり始めたのは・・・


  でもって、バイトに行き始めて、完全にとどめをさされたって感じか・・・


  バイト先では別に殴られたり蹴られたりしたことはなかったけど、そのかわり心が修復不可能なほどバキバキに粉砕されちゃったみたいな・・・


  ・・・まあ、もともと小さい頃から、将来的にどう足掻いても一生敗者のままで、誰からも見下されながら、みじめに生きていかざるをえないようなイメージというか予感は間違いなくあったけどさ・・・


  しかし、まさかここまで壊滅的にどうしようもない展開になるとは思わなかったよな・・・


  もちろん最初っから最後まで全部僕がいけなかったんだけどさ・・・ 


  それはよーくわかってるよ・・・ わかってるんだけどね・・・




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イドムくんの末期的な1日  その6

いどむ15  50%





オナニーするのももはや面倒くさく、37になった今でも、その行為自体に意味不明の罪悪感を感じているせいもあって、 今日は抜くのは無しでふとんに入りました。


そして考え事をしながら、何度か小便をやかんにチョロチョロ出しているうちに、 いつのまにかイドムくんは運良く眠りの世界へと旅立っていました。


しかし、いつものごとく1時間もしないうちに、尿意を感じて目が覚めてしまいました。






  ・・・30分は眠れたか・・・ 毎度のパターンとはいえ、いいかげんもう疲れたよ・・・


  いったいどうなってるんだ、僕の膀胱は・・・


  ・・・まあいいや、とりあえず出すか・・・






じょぼじょぼじょぼ・・・


パンツを一気にずり下ろして下半身をフルオープンし、やかんのふたをあけて、チンポを真上から突っ込んで尿を全開放し、 手を洗いもせずにそのままふとんへと戻ります。



  


  ・・・そういや小学校の時、子供ながらに自分のおしっこの回数は異常なのかもって感じて、 ためしに夜中にトイレに一回行くたびに正の字をノートに書いてみたんだよな・・・


  で、翌朝ノートを見たら何と20回で・・・ 


  でも別にその日は特別行く回数がいつもより多かったというわけでもなくてさ・・・ 
 

  なんとなくおかしいと感じてたことが、あの日数字という形ではっきりわかってしまったんだよな・・・ 






  ・・・こんな状態でやれる仕事なんて世の中に存在するわけないよなあ・・・


  起きてる間を含めたおしっこの回数は数えたことないけど、下手したら100回超える日もありそうだな・・・


  まあ、毎日毎日1日のトータルで100回超えてるって判明したとしても、もう別に驚かないけどさ・・・


  僕の人生なんてとっくの昔に事実上終わっちゃってるわけだし、今さらわざわざ数えてみようとは思わないけど・・・
 




 
  ・・・でもなあ・・・


  もし僕が万が一また働くとしたら・・・ 


  そんな99.9%ありえないこと考えても意味無いのはわかってるけど・・・


  もしもそれが現実化したとなったら、やはりこのおしっこの問題はどうしても避けては通れないだろうな・・・


  別にこいつをクリアしたからって他にも問題は山ほどあるんだから、どのみちまた働くなんて不可能なのは確定なんだが・・・






  ・・・とりあえず僕がおしっこを我慢できるのは、 どんなに水分をセーブしても最高もってギリギリ1時間くらいだろう・・・


  実際コンビニとかの立ち読みでは、途中のトイレ休憩なしで1時間もったことは何度もあるしな・・・


  通常のたまり具合なら、めいっぱい頑張ればたぶん何とか30分は我慢できる・・・はずだ・・・


  ということは、もしまた僕が外で働くとしたら、最悪でも1時間ごとにトイレに行ける仕事じゃないとダメなわけだ・・・  


  ・・・いやいや、それは僕が万全の準備をして、さらに超頑張った時のパターンを想定してるわけだから、 無理ありすぎだよな・・・


  そんなに毎回毎回フルパワー以上を絞り出してたら、僕程度の精神力じゃあ、3日ともたずに間違いなく潰れるよ・・・


  しかも1時間我慢すると言っても、ただ耐えてるだけじゃなくって、 仕事をちゃんとこなしながら、っていう条件つきなわけだからなあ・・・


  僕のことだから、おしっこを我慢してたら、そのことだけで頭がいっぱいになっちゃって、 とても仕事やってるどころじゃないみたいな精神状態に陥って、速攻で解雇か辞職って展開になる可能性が大だよ・・・


  やはりもっと余裕をもった、僕みたいなトップクラスのダメ人間でも、 なるべく自然な形で継続できるような、現実性のある方法を考え出さないと・・・


  となると、一番理想的なのはトイレにいくらでも行き放題っていう職場なわけだ・・・


  ・・・しかし・・・ そんな職場地球上にありうるのか?・・・ 


  頑張って粘り強く探せばどこかにはあるのかもしれないけど、 今の廃人状態の僕に、そこまでして探すほどの気力があるとはとても思えない・・・


  一人で自営で何かできるほどの特殊な能力があれば、とっくの昔にやってるしな・・・






  ・・・とは言っても実はこの問題だけならば、最悪、 高齢者用のおむつを装備しながら働けば解決する程度の問題でもあるんだよなあ・・・


  それはわかってるんだよ・・・ つまりもっとヤバい問題が僕の中にはいくつもあると・・・


  考えてもしょうがないから、あえて考えないようにしてたわけで・・・






イドムくんの頻尿は、間違いなく病気レベルで、日常生活に支障をきたしまくる程の重症ではあるのですが、 実はイドムくん自身は、今はそれほどこの問題に関して深刻に悩んでいるわけではないのです。


なぜなら、頻尿をはるかに上回る、克服不可能に限りなく近い最凶クラスの難題が、 イドムくんの中には他にいくつも巣食っているからです。


それらの致命的とも言えるほど極悪な問題に比べれば、その場しのぎ程度でいいのなら 対応方法がいくらでも思いつく頻尿の問題などは、全く取るに足らない、ささいなことだというわけです。  






  おしっこの問題があるから、これのせいで働くのが無理なんだとは、今は全然思ってないよ・・・


  ・・・っていうか、たぶんこんなの大した問題じゃないはず・・・


  たしかに働く上でかなりの障害であるってのは事実なんだけど、しょせん頻尿なんてのは、ただの表面的な現象であって、 本当の問題はこれを引き起こしてる、精神的なストレスとかそっちの方なんだよな・・・

  
  つまり、僕の根本的な心の弱さを何とかしない限り、結局どうしようもないってことなんだよなあ・・・


  精神の移植手術なんてブラッ○ジャック先生だってできるわけないし・・・


  こいつをどうにかするには、一回死んで生まれ変わるしかないんだろうな・・・


  やっぱり、意味の無いことを考えてもろくなことは無いな・・・ よけい落ち込んで暗くなるだけだ・・・


  まあどのみち僕の将来なんて、どう転んだって絶望しかないわけだから、 あらゆることがどうでもいいといえばいいんだけどさ・・・




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イドムくんの末期的な1日  その5

いどむ14  50






微妙なうしろめたさを感じつつも、本能にまかせて晩ご飯をぱくぱく食べながらテレビを見ていると、NTTdocomoのCMが流れていました。





  ・・・結構かわいいな、この女の子・・・名前なんて言うんだろ・・・


  もう今のアイドルとか歌手なんて全然わからないや・・・


  名前はよく聞くけど顔がわからないってケースが多いんだよな・・・





  ・・・しかしよく考えると、僕ってケータイも持ったことないんだな・・・


  電話なんて僕からかけるようなところは一つも無いし、どこからも僕あてにかかってくることなんてありえないんだけどさ・・・


  最近は小学生ですら持ってる子がけっこう多いらしいけど、こんな37にもなって持ちたくても持てない僕って一体・・・  


  ・・・小学生以下の存在ってことか・・・ 


  いや、もしかすると幼稚園でも持ってる子がいるかも・・・とゆーことは・・・


  ・・・まあ、ケータイなんて持ってなくても別にそれで困ったことは一度も無いし、どうでもいいと言えばいいんだけど、なーんか僕だけ時代から完全に取り残された感はあるわな・・・






  そういやiPODも持って無いしな・・・


  でもあれって、もしかしてPCにつながなきゃ使えないのか?・・・


  だったら持ってても無意味か・・・僕の部屋にはPCが無いからなあ・・・


  ・・・いや、そもそも僕は音楽なんか、もう何年もまともに聞いてなかったな・・・






  ケータイがあればネットができるらしいから、欲しいと言えば欲しいんだが・・・


  ケータイでエロサイトも見れるらしいし・・・


  しかし毎月毎月の料金を払うお金が無いわけで・・・ 


  どうせ月に最低1万円くらいはかかるんだろう・・・


  でもって、それを払うためには当然ながら働くしかないと・・・


  かといって、ネットとかエロサイト程度の動機ではとてもじゃないけど働きに行くまでには至らないんだよな・・・


  再びあの生き地獄に、自分からわざわざ戻るほどの動機っていったら何だろうな・・・ちょっと思いつかないや・・・


  どう考えても、また働くくらいなら自殺したほうが100億倍マシとしか思えないよ・・・少なくとも今の時点では・・・
 

 

  
欲望のおもむくままにチョコフレークをぼりぼり食べながら、ニュース番組をはしごしつつ、いつものように非建設的なことばかりぼーっと考えているうちに、気がつくと夜の11時半になっていました。


イドムくんは甘いお菓子が大好物で、何も言わなくてもお母さんがいつもスーパーで買ってきて、台所のお菓子置き場に補充しておいてくれるのです。





  ・・・おやつも食べ終わったし、テレビも飽きたし、そろそろふとんに入るか・・・


  しかし今日はちょっとだけど、人とまともに会話したな・・・相手はあいかわらずお母さんだったけど・・・


  僕が話す相手なんて、お母さん以外だとコンビニの店員と、月一で行ってる精神科の先生くらいしかいないからな・・・


  店員となんて「はい」くらいしか言わないんだから、そんなの会話の内に入らないだろうし、先生にしたって最近は1分も話してないからなあ・・・

 




  ・・・ところで最近やたら物忘れが激しいような気がするんだが、もしかして人としゃべらないことも原因なのだろうか・・・


  独り言ならいつも言ってるんだけど、やっぱそれだけじゃだめなんだろうな・・・


  たまーに、知らないうちに、まるで会話でもしてるみたいに一人でべらべらしゃべってる時があったりするんだが、そんなのただ不気味なだけで何の意味もないよなあ・・・


  やはり独り言はしょせん独り言で、他人との会話の代わりになんて、どうやったってなるわけないんだろうな・・・






イドムくんの独り言は、もはや完全に病気の水準にまで達してしまっており、他人が見たら、100人中100人があぶない人だと認識するほどの壊れようなのです。


自室にいる時の独り言は、他人と話しているような感じでしゃべっている時もありますが、突発的に大声で何かを叫んだり、口走ったりするパターンがほとんどです。


もちろんイドムくん自身も、しゃべった直後に、自分がしでかしたことの恥ずかしさに気づいて、自室に一人でいるのに、あわてて周りを見回したりしているのですが、気づいた時にはすでにしゃべった後なので、これを自力で止めるのは、文字通り至難の業なのです。


外にいる時も、ちょっと気を抜くと、すぐに独り言がフルオートで出てしまうため、どこにいても常に緊張していなければなりません。





 ・・・僕が外でブツブツ独り言をしゃべってると、まるで珍獣を見るような目で僕を見てたり、笑ったりしてる人がたまーにいるんだよな・・・


  たぶん僕のことを、妖精とか神様と会話してる、頭のおかしいかわいそうな人みたいに思ってるんだろうなあ・・・


  まあ、異常であることは間違いないんだけどさ・・・


  さすがに妖精の姿は見えないけど・・・






  ・・・こんな状態じゃ働くなんて絶対無理だよなあ・・・


  今の僕の頭なんて、いいとこ小学生レベルじゃないか?・・・

 
  こないだ九九で出てこない部分があったのにはさすがにびびったよ・・・


  やっぱ使ってないと、筋肉だけじゃなくて、頭もどんどん衰えていく一方なんだろうな・・・

 
  僕の体力なんて下手したら小学生以下の可能性もあるよ・・・


  37才でこんな状態じゃあな・・・さすがにどうしようもないだろう・・・ 自分で自分が情けないよ・・・


  どう考えても、もうここから社会復帰なんて絶望的だな・・・


  後は毎日ただぼんやりとテレビを見て、ご飯とおやつを貪り食ってひたすら脂肪を増やして、トイレで大きいほうをして、だらだらとゲームをやって、時間を潰すためだけにマンガを読んで、オナニーをして、親にたかり続けて、えんえんとムダ金を使わせるだけの人生か・・・






  生きている価値はゼロだな・・・間違いなく・・・


  まさに、ただ息をしているだけだ・・・ 


  生きてるんじゃなくて、まだ死んでないというだけの状態・・・ 


  それをわかっていながら、自殺もできずにだらだら見苦しく、生にしがみついている自分が心底許せないよ・・・






  ・・・もういっそのこと、誰かがいきなり後ろから僕を刺し殺してくれないかな・・・ 


  そうなればこれ以上迷惑はかからない・・・ 


  この世から、何の意味も無い、世の中に毒を垂れ流し続けるだけのゴミが一匹消滅するだけだ・・・


  しかし、本気で僕を殺してくれる生き仏のような人がいたら、今すぐにでも全財産を喜んで差し出すんだけどな・・・


  まあ、全財産とは言っても、現金は1000円も無いし、まともに換金できそうなものなんて、PS2とスーファミの本体に、ゲームソフトが10本くらい・・・あとはマンガが数十冊くらいか・・・


  エロ本は状態があまりにも悪すぎるから、どこでも買い取り拒否されるだろうし・・・


  ゴミ捨て場から拾ってきたエロ本の付録のDVDなんか、当然買取不可に決まってるしな・・・


  こんなんじゃ、全部売りさばいても、いいとこ1、2万ってとこだろうな・・・


  さすがにこの金額で殺人をしてくれるほど慈愛に満ち溢れた人なんているわけないもんなあ・・・


  ・・・やっぱり他人に頼らず、自分で頑張ってとどめをさすしかないってことか・・・




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イドムくんの末期的な1日 その4

イドム13  50%






イドムくんのお父さんとお母さんは現在60代後半、もうとっくに介護保険が使える年齢です。


すでに年金は受け取っているのですが、お父さんもお母さんも国民年金なので、支給金額が非常に少なく、2人分合わせても、イドムくんを含めた3人の生活費には全然足りません。


そういう切迫した事情があるため、しかたなく今はお父さんもお母さんも、勤務先はそれぞれ違いますが、月に15日程度、清掃のアルバイトに行っているのです。






実はお母さんは、イドムくんの将来に関しては、もう既に90%以上はあきらめてしまっています。


子供3人の内、上の2人が周りに自慢できるくらい立派に育ってくれただけでも、自分の人生は十分幸福だったと思っており、残ったイドムくんは産み育てた自分の責任で、できるところまで面倒を見続けるしかないと覚悟を決めています。


今後はとにかくイドムくんが、やけになって犯罪や自殺に走ったりして、周りに迷惑をかけなければそれでいいと思っているのです。






イドムくんが現在のような状態に陥ってしまった理由については、お母さん自身もよくわからないというのが正直なところです。


自分の育て方が悪かったのだろうかとか、生まれつきイドムくんに、何らかの目に見えない問題があったのだろうかとか、今までえんえんと人知れず悩み続けてきたのですが、どうしても原因を特定することができません。


本当はイドムくんに直接言いたいことが山ほどあるのですが、言うとただでさえ驚異的に気が弱いイドムくんを、さらに責めているような感じになってしまいそうなので、実際には何も言えない、というのが現状なのです。


実はイドムくんだけでなく、お母さんもまた、毎日毎日自分自身の至らなさを責め、自己批判し、自問自答を繰り返す日々を送っているのでした。






  ・・・何か疲れちゃったな・・・


  無職なんだから疲れるほど大したことなんて何もしてるわけないのに・・・


  まあいいや・・・今日はもう何も考えるのはやめよう・・・





ご飯を食べようと、ひじ掛け付きのボロボロの座イスに腰を下ろし、ハシを持ったところで、イドムくんの頭にある疑念がフッと浮かびました。





  ・・・もしかして僕って、最近まるであたりまえのようにご飯を食べてないか?・・・






  普通はさ・・・ここまであからさまに突出して能無しだったら、もっと、こう・・・うしろめたさとか罪悪感とかで耐えられないというか、生きててごめんなさいっていうか、ご飯なんて申し訳なくてとても食べられないって感じになるのが通常の反応なんじゃないのか・・・


  てゆーか、これほどまでに全てが末期的にヤバかったら、少しでも人の心が残ってれば周りの迷惑を考えて、とっくに自決してるはずだろう・・・


  そうか・・・そうだよな・・・


  だいたい15年以上も無職のままなのに、毎日毎日普通におなかいっぱいご飯を食べていられたってことが、すでに異常過ぎるくらい異常だったんだよな・・・


  ・・・しかも毎食おやつまでって・・・ありえないだろう・・・


  そんなの冷静に考えてみれば不自然もいいとこだろうが・・・ いや、冷静に考えるまでもないか・・・






  ・・・ご飯とお菓子を買うためには当然お金がいるわけで、お金を手に入れるためには働かなきゃならないわけだ・・・


  でもって、働いて、誰かに何らかのプラスを提供することによって、
  その対価としてやっとお金がもらえるわけだろう?・・・



  しかし僕は、何一つ他人のためになることをしていないにもかかわらず、15年以上もご飯とお菓子を無意味かつ不当に食い漁って、こんなブタみたいな体になるまで、ひたすら脂肪を貯めこんできたわけだ・・・






  ・・・よく今まで平気でご飯食べてこれたよな、僕って・・・


  いったい何考えてたんだろう・・・ いや、何も考えてなかったんだろうな・・・


  米粒一つ食べる資格すら無いのになあ・・・


  僕なんかがご飯を食べたって、ただ人並み外れてド汚く、サリン並みの異臭を放つウンコが意味もなく増殖していって、地球をどんどん汚染させてしまうだけなのに・・・


  どうせ僕ごときが人並みに栄養を補給したからって、そんなの全部オナニーする時の体力と精子に消えて、さらにトイレットペーパーが無駄に浪費されるだけだろうが・・・


  ニブいというか鈍くさいというか死んだほうがいいというか・・・


  おそらくもう、恥とか思いやりとか感謝とか、そういう人間らしい感覚が、根元からブッ壊れてるんだろうな・・・


  だからこんな鬼畜でもやらないようなヒドイことが平然とやれてきたわけだ・・・


  周りにどんな迷惑をかけても自分さえよければそれでいいと・・・


  ・・・これじゃ動物と同じだな・・・


  いや、違うか・・・それは動物に対してあまりにも失礼過ぎるだろう・・・


  僕みたいなゴミごときが、何思い上がったこと考えてるんだか・・・


  動物は動物なりの役目を一生懸命に果たして、地球環境の維持に立派に貢献しているだろうが・・・






  ・・・それに引きかえ僕ときたら・・・


  周りのためになるようなことは、何もできない何もやれない何もしてない・・・


  僕ができることなんて、せいぜい周りに無差別に毒のオーラをまき散らして、みんなを不快にさせることくらいだよ・・・






  ・・・僕さえ最初からいなければなあ・・・


  お父さんもお母さんももっともっと幸せな人生が送れたんだろうにな・・・


  ・・・僕みたいなクズがいたばっかりにこんなしなくてもいい泥沼の苦労を・・・


  まさに社会のガン細胞・・・いや、エイズウイルスだ・・・ いや、もう劣化ウラン弾でも何でもいいや・・・


  いわゆる、誰の役にも立たないどころか、いたら困るだけってやつだ・・・


  存在自体が迷惑以外の何物でもないと・・・






  やはり0.1秒でも早く地上から消え失せることが、僕にたった一つだけ残された、唯一世の中に貢献できる選択肢だな・・・


  これだけは間違いない・・・自信もって断言できるよ・・・


  ・・・って、そこまで確信してるんならさっさとやれってんだよな・・・


  結局、実際に体を動かしてしんどいことをやるのは、めんどくさいからイヤなんだろうな・・・


  ・・・何というゴミ・・・なんというクズ・・・


  いったい何のために、天はこんな汚染物質の存在を許してるんだろうなあ・・・


  まさに人類史上最大にして最凶の謎だよ・・・




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イドムくんの末期的な1日 その3

いどむ12  50%





水分補給用に置いてある、2リットルのペットボトルに入れておいた水を飲みつつ、ニュースをはしごしていただけなのに、いつのまにか夜の7時になっていました。




  ・・・ニュース7か・・・ そろそろ夕食が始まってるころだな・・・




イドムくんにはお兄さんとお姉さんがいるのですが、両方もう既に結婚しており、現在は2人とも県外に住んでいるため、ごはんはいつも、お父さんとお母さんの2人だけで食べています。


小学生の頃から、イドムくんは他人と一緒に給食を食べたりすると、過剰に緊張してしまって、ごはんがあまり食べられない傾向があったのですが、それがバイトをやめて家に引きこもるようになってからは、一気に悪化してしまいました。


今のイドムくんの廃人同様の状態では、仮に3人で食べたとしても、いつお父さんから何を言われるかわからないという恐怖で頭がいっぱいで、とても食事どころではないわけです。




  ・・・そういえば小学生の時は、給食の時間が心底苦痛で苦痛でしょうがなかったっけな・・・



  みんなと同じように時間通りに全部食べ終わったほうがいいのは、もちろんわかるんだけど、現実問題として、無理なものはどうやったって無理なんだよな・・・


  僕だけ昼休みになってもずーっと居残りで食べさせられてさ・・・ 


  毎日泣きながら頑張って食べてたけど、でも結局ほとんど入らなくて・・・


  かと言ってまさか食べ物を捨てるわけにもいかないから、残りを家に持ち帰るんだけど、今度はそのことでお母さんに毎日いろいろ言われてなあ・・・


  いやー、あの頃はきつかったわ・・・って、今も相変わらずきついか・・・




  ・・・給食ネタでもよくバカにされてたな・・・ 


  とくに中学の時はひどかった・・・ あれでよく自殺しなかったよな・・・


  「遅ぇーな、まだ食ってんのかよ?」とか、「なんでデブのくせに食えねーの?」とかみんなで笑いながら言ってたからな・・・


  いや、別に先生とか同級生たちを恨んだりとかそういう気持ちは全然無いんだけどさ・・・


  ・・・ただ・・・なんというか・・・全てがひたすら悲しいというか、虚しいというか・・・




  ・・・でもまあ・・・いつも一人だけ遅くまでだらだら食べてたら、
  周りからしたら当然迷惑だし、かなり目障りだったんだろうな・・・



  やはり全部僕が悪かったんだな・・・ 何を言われても何をされても結局自業自得、因果応報だったってわけか・・・


  だったらさっさと普通に食べればって話だもんな・・・




  ・・・しかし今考えると、給食だけじゃなくって、みんながあたりまえのように何も考えずにできることが、僕にはとてつもなく困難っていうパターンが、昔からやたら多かった気がするんだよなあ・・・


  これはただの気のせいだろうか・・・




  ・・・まあいいや・・・昔のことを思い出すのはやめよう・・・ 


  ただでさえ死亡寸前の精神がさらに崩壊してしまう・・・


  しょせん、もう過ぎたことだよ・・・ どのみち僕の思い出なんて嫌なことしか無いんだしな・・・




お父さんとお母さんが夕ご飯を食べ終わって、片付けも済んで、2人が台所から居間やお母さんの部屋に、移動し終わるのを待ってから、イドムくんはこそこそと、夜食を手に入れるために1階に下りていきます。  


だいたい夜9時過ぎくらいになってから台所に向かうのですが、この時ついでに汚れた食器やゴミを置いてくるのです。


今夜のおかずはイドムくんの好物の肉じゃがでした。


ご飯とおかずを全部まとめて手際よくどんぶりに入れ、ペットボトルの水が切れたので水道から補充し、お菓子置き場からおやつ用にチョコフレークを勝手に取って、階段へと向かいました。




すると前方に人のいる気配があり、瞬時にイドムくんの背中に冷たいものが走り、体全体が固まりました。



  ・・・終わった・・・ 今日は不幸だ・・・




恐怖で震えながら、上目遣いに前をちらっと見ると、そこにはトイレに入ろうとしているお母さんがいました。




  ・・・助かった・・・お父さんじゃなかった・・・  


  まだ天は僕を完全には見放していなかったか・・・




「イドム・・・」


「・・・あ、うん・・・」


「・・・今からごはんなの?・・・」


「う、うん・・・」


「そう・・・ 体には気をつけてね・・・」


「あ、あ、うん・・・」




階段を上がって部屋に入り、1年中出しっぱなしのこたつの上に奪ってきたばかりの食糧を置きます。




  はあァァァァー・・・マジで焦ったよォォォォ・・・ あの一瞬で寿命が確実に5年は縮んだな・・・


  お母さんも、もうちょっと音を立ててドカドカ歩いてきてくれればなあ・・・


  ・・・いや、人のせいにするのはダメだ・・・ 


  僕が台所から移動に入る前に、気配を読むのが甘かったんだ・・・


  ちょっと油断してたというか、気が緩んでたな・・・何でだろう・・・


  まあいいや・・・とりあえず今日は結果オーライではあるけど、こうして無事に生き残ったんだ・・・明日からまた気をつければいいさ・・・




  ・・・しかしな・・・こんな何もできない・・・何の役にも立たないどころか、みんなの迷惑でしかない僕なんかをいまだに心配してくれるなんて・・・


  やはりお母さんが死んだら僕も死ぬしかないな・・・ お父さんと2人暮らしなんて絶対もつわけないし・・・


  お母さんが、もしいなくなったらって考えただけで、焦りと不安がMAX化しちゃって気が狂いそうになるから、極力考えないようにはしてるんだが・・・






  しかし、最後は自殺で終わるしかないってのは、もう20年以上前から考えてたことなのに、お父さんと接近遭遇したと思っただけで、ここまで動揺するとはいったいどういうことなんだ・・・


  ただ単にまだ腹が据わってないってことなのか・・・ それともまさか、この期に及んでまだ人生に未練があるってのか・・・




  ・・・何というヘタレ・・・何というクズ・・・


  これだけ周りの人達に最大級の迷惑を、理不尽にかけ続けておいて、自分で自分を始末することすらまともにできないなんて・・・


  甘えているにもほどがあるだろう・・・




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イドムくんの末期的な1日  その2

いどむ11  50






イドムくんが自分の自殺願望というか自殺志向をはっきり意識したのは、小学校低学年の頃でした。



そして、それ以来ずーっと、成功率が最も高く、苦痛が最も少ない方法を探し続けてきたのです。



お母さんが死んだら迷わず決行するつもりではありますが、とりあえず今のところやる日は決まっていません。



方法は今も研究中なのですが、現時点では首吊りでやる方向です。



近くのホームセンターで購入した12mmのクレモナロープは、今も押入れの奥深くに静かに息を潜めて、今か今かと出番を待ち続けています。






  ・・・首吊りもなあ・・・ 


  一応マニュアルではイチオシのやり方ではあるんだけど、正直言って僕的にはいまいちな方法なんだよなあ・・・




  あれだと、まず場所の選択が難しいんだよ・・・


  僕が一番こわいのは中途半端に未遂で終わってしまうことなんだよな・・・



  家の中でやると、運悪く早期発見された場合がやばいからできれば避けたいんだが・・・


  かと言って外でやるとなると、人目があるから意外となかなかいい場所ってのは無いんだよ・・・


  ロープをひっかける場所の強度を考えると木ってのは結構厳しいんだよな・・・


  前に樹海のDVDをTUTAYAで借りてきて研究したことがあったけど、なんかぱっと見やたら細い枝ばっかでなあ・・・  


  あれじゃあ僕の体重はとても支えきれないよ・・・


  公園とかの遊具なんかも一応候補に入れてあるんだけど、夜中とかにやっても途中で人がふらっと来そうなんだよな・・・


  マニュアルでは苦痛はほとんど無いみたいに書いてあったけど、それはうまくいったらの話だろうし・・・








  確実性にもかなり疑問があるんだよな・・・ 


  ネットで調べて、まず切れないと言われてるロープは用意したけど、いくら事前に練習したからって、本番でうまく首が絞まってくれるかどうかは実際やってみないとわかんないわけだからなあ・・・


  下手に半身不随とか植物人間とかになって、その後自分で自由に自殺の方法すら選べなくなっちゃって、ただ周りに半永久的に迷惑をかけ続けるだけの存在になってしまうって展開が一番怖いんだよな・・・ 


  今までさんざん世の中のお荷物どころか害悪でしかなくって、何一つ周りの人達にプラスなんて提供できなかったのに、自殺してからまで家族とか社会に迷惑なんか、とてもじゃないけどかけられないよ・・・




  アメリカみたいに銃が簡単に手に入れば、こんな苦労しなくて済んだんだけどなあ・・・


  こんな無職で、お金も無いんじゃ散弾銃なんて絶対入手できるわけないし・・・




  硫化水素自殺が話題になった頃は、僕もけっこう真剣に研究したんだけどな・・・


  あれはまさに自殺の産業革命って感じで、ほんとに文字通り奇跡の薬が発見されたと思ったもんなあ・・・


  でも、さすがにああいう他人に甚大な迷惑がかかる可能性が高いやり方はちょっとな・・・




  37年間ひたすら周りに迷惑をかけっぱなしで、死んでからもそれじゃあ、あと何億回死ねばお詫びできるんだって話になっちゃうもんなあ・・・





  

何の発展性も無く、どうでもいいようなことを考えつつ、白かりんとうを心のままにボリボリ食べながら、テレビのチャンネルを適当に回していたら、いつのまにか夕方のニュースが始まっていました。







  ・・・何もしてないのにもう5時か・・・


  何か最近やけに時間が経つのが早い気がするんだよな・・・ 


  これは気のせいだろうか・・・ それとも年齢のせいか?・・・


  ただぼーっとしてるうちに気がついたら・・・みたいな・・・


  もしかして、これがいわゆる若年性認知症ってやつか?・・・




  ・・・何だかなー・・・ こういう堕落を極めた生活を何年も続けてると、意識が混濁してくるというか・・・


  時間とか曜日とか季節とかの感覚なんて、とっくの昔に壊れちゃってるし・・・


  もともと頭が悪いのに、ろくに使わないからどんどんバカになっていくって感じなんだよな・・・




  



  ・・・そうか・・・ 最後にやったバイトを休憩中に逃げ出してから、こうやってただ意味も無くぼーっとしてるうちに、もう15年以上もたっちゃったわけか・・・


  あの時は、バイト先の上司から怒られるのがあまりにも恐怖だったんで、「すみません、辞めます」っていう電話すら怖くてかけられなくって、結局そのまま家から出られなくなっちゃったんだよな・・・




  ・・・最低だったよな・・・僕って・・・ いや過去形じゃないか・・・

  
  どっちにしても間違いなく万死に値するよ・・・


  なんで政府はこんなゴミを最終処分しないで野放しにしてるんだ・・・




  ・・・いやいや、それはあまりにも違い過ぎるだろう・・・


  人のせいにするのはやめろよ・・・ ほんとに最低なんだな、僕という名のクズ野郎は・・・


  そんなんだからこうやって魔界にまで堕ちるんだよ・・・







  ・・・しかし早いな、早すぎるよ・・・ 15年があっという間って、どういうことよ・・・


  学校行ってた頃とかバイトしてた頃なんて、1日があんなに気が遠くなるほど長かったのに・・・


  こうやって後はもう人生をただ無意味に空費して、気がついたらいつのまにか何十年も過ぎてましたって感じになるのかな・・・


  いや、さすがにそこまではお母さんの寿命がもたないだろうから、ごくごく近い将来自殺する展開はやはり避けられないだろう・・・








  ・・・何か全てがどうでもよくなってきちゃったな・・・


  自殺の方法を考えたり、やる場所をいろいろ探したりするのも正直疲れたというか・・・




  ・・・眠ってるうちに心臓が勝手に止まってくれればなあ・・・


  外に出た時に頭に雷が落ちるとかでもいいけど・・・


  どうにかして、もとから僕の存在が無かったことになってくれれば、それが一番理想的なんだが・・・




  ・・・やっぱダメだな僕は・・・ 


  絶望的にダメだわ・・・


  自殺することすらめんどくさがってるというか、ビビッてるというか・・・


  まさに生まれてごめんなさい、ムダに酸素吸ってごめんなさい、何の役にも立たない欠陥品のくせに、CO2排出して、地球温暖化を促進してごめんなさいって感じか・・・




  ・・・つまるところ何一つまともにやれることがないわけだ・・・


  僕にできるのはトイレで大きいほうを製造することと、チンポを握って精子を出すことだけか・・・


  そんな能力、誰の役にも立たないどころか、みんなの迷惑でしかないよな・・・


  誰でもいいからこのゴミを、今すぐ原子分解して、あとかたもなく消滅させてくれないかなあ・・・




  ・・・結局こうやって逃げしかないんだよな・・・ いつも最後は・・・




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